私立の通信制高校について(公立との違い)

私立の通信制高校の歴史

通信制高校は、戦後に学校法人NHK学園が独自の通信網を生かして通信制を開校しましたが、もともと公立高校(都道府県立)がほとんどでした。
その後、私立の全日制高校のうち、いくつかの学校が、全日制を中退する学生の受け皿として都道府県をまたいで募集する「広域通信制高校」を設立しました。

しかし、通信制高校の学習のみでは卒業できない生徒が少なくない中、サポート校(協力施設)の需要が高まり、通信制高校とサポート校を併用するケースが出てきました。

2015年、教育分野における構造改革特区により、今まで学校法人しか経営することのできなかった学校が、株式会社等でも経営することが出来るようになりました。このような学校を「株式会社立学校」(株立)と言います。

・学習指導要領によらない多様なカリキュラム編成
(構造改革特区研究開発学校制度)
・株式会社による学校設置の容認
・不登校児童生徒等の教育を行うNPO法人で一定の実績等を有するものの
学校設置の容認

文部科学省「第3節 構造改革特区」より引用)

現在では、通信制高校の学校数は公立校が78校、私立校が175校(2018年4月現在)であり、圧倒的に私立が多くなっています。(学校法人または株式会社による経営)

ユニークな名前の学校が多いのは、なぜ?

インターネットで通信制高校を検索すると「えっ、これが学校の名前?」とびっくりされることも多いのではないでしょうか。公立高校では見たことのない、ユニークな名前の学校が多いのに気づかれると思います。学習塾、専門学校、メディア、書店など、幅広い会社や学校法人が通信制高校の運営に参入しました。

例えば「角川ドワンゴ学園」については、当時の「角川書店」と、ニコニコ動画の配信等を手がける「ドワンゴ」が運営しています。(現在は株式会社KADOKAWAとして統合)書店ならではのコンテンツと、ドワンゴの得意なネットワーク配信を生かしています。

また「飛鳥未来きずな高校」は、多くの分野で専門学校や大学を運営する、学校法人三幸学園が母体となっています。卒業後の進路として、系列の専門学校が挙げられるかもしてません。

このように、企業が主体の通信制高校は、元々の業種の強みを生かしたカリキュラムや学校運営を行っており、進学や就職を視野に入れた様々なカリキュラムを用意しています。

全国各地に多くのサテライト校を持っており、本校が自宅から遠くても、近くの学校に通うことができます。一方で、営利(利益)を求める面もあります。

この場合、私立の通信制高校に入学し、サポートもそこで受けるという形態になります。

サポート校を利用する場合

通信制高校は自己管理が基本のため、学習計画やモチベーションを保つことができれば良いのですが、下手をすると日々の勉強やレポート提出などが滞ってしまいます。そのため、毎日かよって授業を受ける形態の全日制に比べ、卒業率が低いのが現状です。

確実に卒業するため、日々の学習をサポートするために誕生したのが、いわゆる「サポート校」「学習連携施設」といった場所です。(学校ではありません)

現在は、私立の通信制高校に入学し、お住まいの近くにある連携施設に同時に入学し、サポートを受けてスクーリングを受けるというのが、多くの形態になっています。この場合、高校とサポート校の両方に入ることになります。

連携施設として、NPO法人が主催するフリースクールが挙げられます。小学校・中学校時代に様々な出来事に遭い不登校となり、学習が中断してしまった方、特性により学習に困難がある方など、様々な支援・活動を行っています。

こういった連携施設は、いろんな通信制高校と提携していますから、将来の目標に合わせて選択することも可能です。

ただし、支援・活動内容や、一人ひとりに対応するための職員体制については、それぞれのサポート校により異なりますので、他の通信制高校と同じく、よく調べておくことが重要です。

公立に比べて学費が高いのはなぜ?(私立のデメリット)

私立の通信制高校のデメリットは、公立に比べて学費が高いことです。

公立は地方公共団体(都道府県)が直接運営しているため、全日制でも通信制高校でも、施設費や人件費などは、全て税金でまかなわれます。費用としてかかるのは、東京都の場合、年間約1万円です。

通信制高校・1年次(東京都の場合): 合計:約1万円

《内訳》
・入学考査料 : 950円
・入学料   : 500円
・通信教育受講料 : 1単位につき336円。全74単位の場合、合計で336×74=24,864円
・レポート等郵送費 : 100gまで15円
(通信教育のための郵便物は、第四種郵便に該当するため)
・日本スポーツ振興センター共済掛金 : 165 円(年額)
・実習教材費 : 科目により異なる(実費)

〈平成31年度東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内より〉

※公立の通信制高校について、詳しくはこちらをご覧ください

全国にある、公立の通信制高校 全国にある、公立(都道府県立の)通信制高校をまとめました。 全ての学校にホームページ・アドレスが存...

しかし、私立の場合、学校法人の場合は私学助成金という公的な補助金が出るものの、それ以外の経費は生徒からの入学金・授業料等によります。また、スクーリングの日数により、学費がかなり違ってきます。

例1)A学院・ネットコースの場合・・・

・入学金:10,000万円
・授業料:1単位あたり 7,200円
(1年に25単位取得する場合、180,000円
・施設整備費:50,000円
・その他経費:13,000円

 1年次の合計金額(通信制高校)・・・253,000円 

公立の通信制高校の授業料ですと「1単位336円」ですから、単純計算すると私立は約21倍!
ずいぶん高くなります。

通信制高校とは別にポート校や連携施設に通うとなると、さらに別途費用が発生します。(上記の合計額に加え、下記のサポート校の費用が必要)
この時点で、多くの人が費用の高さにビックリします。

例2)A学院・通学コース(週5)の場合・・・

・入学金:108,000円
・授業料:560,000円
・施設整備費:230,000円

  1年次の合計金額(サポート校)・・・898,000円  

総額で(例1)通信制高校+(例2)サポート校=1,151,000円(1年間)となります。

これは一例ですが、私立の通信制高校は学校により、また、どれだけサポート(通学指導)を受けるかにより費用が異なります。

さらに、学校により「普通科」や「進学科」「〇〇専攻」など、様々なコースを設けていますので、選ぶコースによっても費用が変わってきます。

ですから、資料を取り寄せて、学校の運営主体・教育理念はもちろん、コースや学費・サポート体制を下調べしておくことが重要です。

また、株式会社立の場合、補助金を受け取ることができません。設立した当初は株立であったものの、学校法人へ変更した学校もあります。私学助成金を受け取ったとしても、運営の一部に当てられるだけですので、それ以外はやはり、学生からの授業料等が財源になります。

構造改革による規制緩和で、多くの企業が通信制高校に参入したことにより、学校の数やサービスが多様化したのはいいことです。しかし、企業が参入すると言うことは「利益を得る」という目的があってのことです。

私立のメリットは?

私立は、費用は公立よりも高いですが、色々なメリットがあります。

・公立の場合、中学校までの学習過程が終了した前提で学習が行われるが、私立の場合、学校へ通えなかった期間があり、中学(あるいは小学校)の勉強が終わっていなくても、さかのぼって勉強することができる。

・公立の場合、募集が県内の学生に限られるため、住んでいるところから遠方の場合もあるが、私立の場合は比較的近くにあり、スクーリングも含めて通いやすい。(通学の負担軽減・交通費の節約)

・スマホやパソコンなど、インターネットを使った学習やレポートの提出が可能な学校があり、日々の学習を進めやすい。

生徒に対する生活面や精神的なサポートが、比較的充実している。

安心して通うことができる環境を得られるのは、大きなメリットかもしれません。

最後は、自分の目で確かめることが大切!

現在は公立・私立とも、たくさんの学校があり、自分に合ったところを探すのに、どこが良いのか、戸惑うかもしれません。

学校選びのポイントについて、大まかに言えば下記の点でしょうか。

・学校の雰囲気
・通学・スクーリングの場所
・通学路や学校周辺の環境
・自分にとって必要な勉強が受けられるかどうか
・学費(入学金・授業料・設備費・その他諸経費)

もちろん、学校によりサービスは異なります。また、ご自分の現在の状況・目的と、希望する学校が合っているかどうかは、インターネットで調べるだけでなく、実際に資料を取り寄せてみることが大切です。

その中で気になった学校が出てきたら、今度は実際に学校へ足を運んでみましょう。(事前に電話予約しておくと良いと思います)

自宅から学校までの道のり、学校の雰囲気を感じてみましょう。そして、あなたに合った学習体制が取れるかどうか、また何かあったときに相談に乗ってもらえるか等、あらかじめ聞いておくと良いでしょう。

通うのはあなた自身ですから、最後はぜひ、ご自分の目で確かめてみてくださいね。

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