不登校の子どもの味方、フリースクールについて

通信制高校を調べていくと、混同されやすいのがフリースクールです。「スクール」と名前が付いているので、つい「学校かな?」と思ってしまいますが、正式な学校ではありません。

サポート校ともまた性質が違います。一体どういった施設なのでしょうか? 順番に見ていきましょう。

フリースクールとは何か?

学校がなんとなく合わない、授業がわからない、担任の先生とうまくいかない、友達からいじめに遭っている…。様々な理由で学校に行けなくなったり、家から出られず、ひきこもってしたりしてしまうお子さんが少なからずいるのが現状です。

このような状態になってしまうと、お子さんはもちろん、親も心配になります。

学校に自分の居場所がない、または学校そのものが怖いと感じ、不登校になってしまった子どもたちのために作られた施設が、フリースクールです。

学校教育という枠にとらわれることなく、子どもたちの学びの場や居場所として安心して過ごすことを目的としています。文部科学省の指導要領にとらわれずに運営されている教育施設・・・ゆえに、フリースクールと言います。

運営主体はどこ?

多くのフリースクールは、NPO法人やボランティア団体等、民間団体等が運営しています。近年では、通信制高校のサポート校を運営する企業も、不登校の中学生向けにフリースクールへ参入しています。

フリースクールの年齢層について

小学生から20代前半まで、幅広い年齢層が通っていることが多いです。異年齢の子どもたちが集うことで、お互いの役割分担、年上の子どもがリーダーシップを取ることで、自立心が育まれるといった利点があります。

フリースクールの目的

学校のように決まった時間割などがなく、フリースクールでの過ごし方は子どもの自主性に委ねられていることが多いです。

様々な方針・規模のフリースクールがありますが、どのスクールでも共通しているのは、学校に戻ることが前提としていない、ということです。

学校で疲れ果てた子どもたちが学校とは異なる環境で自分の心を癒やしたり、同じ境遇の学年を超えた子ども同士のつながり、そしてスタッフである大人と関わることによって、新たな信頼関係を作ったりすることで、元気を取り戻すことが目的です。

また、もともと在籍している小・中学校の校長の許可を得られれば、フリースクールの出席日数が学校の出席日数にカウントされます。ただし、フリースクールは学校教育法に定められた学校ではありませんので、フリースクールに通っても卒業資格を得ることはできません。

フリースクールでの過ごし方

子どもの回復を助けるフリースクールですが、勉強をする機会を設けています。

個別の勉強はもちろん、農業体験、調理体験、スポーツ、音楽や美術などの芸術など、スクールごとに様々なプログラムを設けています。多くのお子さんは週5日のペースで通い、自分のペースで過ごすことができます。

中学卒業後はどうなるの?フリースクールで高卒資格を得るには

義務教育は、基本的に学校へ通っていなくても中学卒業資格を得ることになります。その後は、どのような過ごし方があるでしょうか。

フリースクールは、サポート校と同じく、通うだけでは高校卒業資格を受けることはできません。しかし、将来を考えたときに、いろんな方法があります。

フリースクールに通いながら公立・あるいは広域制の通信制高校に入学し、勉強することができます。通信制高校は基本的に自宅で学習するものですが、ひとりで勉強を続けるのが難しいお子さんにとって、フリースクールはひとつの学びの場にもなります。仲間と助け合い、スタッフに相談しながら勉強することができます。

最近では、通信制高校を併設したフリースクールも登場しています。また、通信制高校へ入らない場合でも、高認(高校卒業程度認定試験、旧・大検)を受験し、合格したのち、大学に進学するケースもあります。

「勉強する気力が出ない」といったお子さんは、フリースクールで自分の居場所や役割を見つけて、自己肯定感を高めながら過ごすことができます。また、高校卒業資格を取らずに中学卒業資格で人生を進んでいる人もいます。

子どもたちの未来は可能性に満ちていますから、疲れた羽を充分に休めたあと、自分の進みたい道を見つけることができるように大人は見守ることができます。

フリースクールの歴史

そもそも、フリースクールはどこで、いつから存在するのでしょうか。フリースクールの歴史をひもといてみましょう。

海外から始まった、フリースクール

もともとフリースクールは、アメリカにおいては「無料の(フリー)」学校として、ヨーロッパやオーストラリアでは「シュタイナー教育」や、先生が一方的に話すのではなく子ども自身が課題について考え解決を目指す「オルタナティブ・スクール」があります。

日本でフリースクールが生まれた理由

かつて、不登校の子どもたちは本人の中に問題点があると考えられ、不登校自体が「問題行動のある子」とされていました。いろんな手段で「問題を解消」、つまり学校へ戻すという以外の選択肢はありませんでした。そんな時代に、学校以外の子どもの居場所として、フリースクールができました。

日本では、未だに「学校は行くべきものだ」という考え方が根強いですが、これは「登校拒否=子どもの問題行動」という昔からの考え方が影響しているからです。また、日本ならではの考え方として「他の人と同じでない」という事柄に対し「おかしい」とレッテルを貼るという、社会的な風潮も根強いでしょう。

ですから、子どもが疲れ果てて「学校へ行けない」と苦しむ中、さらに「問題行動のある子だ」という学校サイドのレッテルが、さらに子ども、そして保護者に追い打ちをかけていたのです。

しかし、それに異を唱える大人や保護者がいました。

2001年(平成13年)には、草の根の市民活動として活動していたフリースクール、フリースペース等が連携し、「NPO法人フリースクール全国ネットワーク」が結成されました。その後、不登校の子どもたちの増加に伴い、現在ますますフリースクールの役割は大きくなっています。

フリースクールの費用について

フリースクールは上記に述べたとおり、学校教育法の施設ではありません。なので、国や自治体からの補助金が無いため、運営は基本的に自主運営(自費)でまかなわれます。

フリースクールの規模や内容にもよりますが、平均的な費用は月額で3万3千円平均的な入学金は5万5千円となっています。ただし、施設によっては減免制度を設けているところもあります。

電車やバスを使ってフリースクールに通う場合、学割が適用されます。

*詳しい費用については、個々のフリースクール等にお問い合わせください。

〈参考〉

小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査 (平成27年8月5日 文部科学省)

適応指導教室との違い

不登校の生徒を支援するために教育支援センター、いわゆる「適応指導教室」が全国各地の教育委員会に設置されています。これはどういった施設でしょうか。

〈 設置の目的 〉

教育支援センターは,不登校児童生徒の集団生活への適応,情緒の安定,基礎学力の補充,基本的生活習慣の改善等のための相談・適応指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより,その学校復帰を支援し,もって不登校児童生徒の社会的自立に資することを基本とする。

ー 文部科学省:教育支援センター(適応指導教室)整備指針(試案)より ―

つまり、学校へ行けなくなった子どもが一時的に過ごせる場所であり、その間、集団生活に対応できるように指導を行い、同時に学力を補う施設です。

しかし、適応指導教室は、あくまで学校復帰を最終目的としており、学校で集団生活を送ることが社会的自立につながるとしています。また、教員や退職した元教員が学習支援にあたることが多く、学校の価値観がそのまま反映されていることもあり、子どもによっては合わない場合もあります。

フリースクールは子どもだけの場所ではない

不登校になって苦しんでいるのは、学校へ行けなくなった子どもです。しかし、保護者もまた「なぜ、自分の子どもは不登校になってしまったのだろう」と深く悩んでいます。

未だに「学校へ行くのは当たり前」という概念が世間一般で根強いため、他の人に相談することも難しいのが現状です。

不登校の子どもは増えていますが、横のつながり・・・親同士で悩みを共有したり相談できる場所は、ほとんどありません。

〈不登校のための、主な相談窓口 〉

・チャイルドライン・・・TEL:0120-997-777

・24時間子供SOSダイヤル・・・TEL:0120-078-310

・子どもの人権110番・・・TEL:0120-007-110

*こういった電話相談を利用することも、ひとつの方法ですが…

多くのフリースクールでは、保護者が集まって話し合いができる場が存在します。

子どもを見守りながらも、なかなか出口が見いだせない中、似たような悩みを持った親が話し合って何らかのヒントを得たり学んだりしながら、解決方法を探ることができます。

「学校へ行けない自分は、悪い子」と苦しんでいる子ども同様、親もまた悩みを打ち明けて「悩んでいるのは一人ではない」と安心できる場所になるでしょう。

今後の課題

このように、フリースクールは多様な居場所・学びの場所を提供し、子どもたちに様々な選択肢を与える場所といえます。ただし、設置されている場所は都市部が中心で「フリースクールに通いたいけれど、近くにない」というケースが多々見受けられます。

また、様々なフリースクールが設立される中、その内容も多岐にわたっており、フリースクールの入学の際には、どのような活動を行っているか、スクールの雰囲気は子どもに合っているかどうか、資料を請求したり、直接見学することをお勧めします。

不登校の子どもたちが急増する中、国もフリースクールと連携して、不登校の子どものための教育機会を確保することを表明しています。

学校に行けず、フリースクールに通う機会もなく、自宅で過ごしている不登校子どもが多く存在している現状の中で、フリースクールを始めとした教育施設・子どもたちの居場所づくりのため、またフリースクールへ通う親子の負担軽減のため、国からの財政的な面での支援が望まれるところです。

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