不登校の生徒の現状
現在、日本で不登校の子どもは、一体どれくらい存在するのでしょうか。
文部科学省によると、平成28年度における不登校の子どもの数は以下のとおりです。
小・中・高等学校における不登校児童生徒数・・・18万2,248人
内訳は以下のとおり。
・小学生 3万 448人
・中学生 10万 3,235人
・高校生 4万 4,565人
「H30年度不登校実態調査・不登校児童生徒数の推移」文部科学省 参照
グラフを見ると、ここ数年、不登校の生徒は急激に増加しているのが分かります。
高校中途退学者について
また、高校を中退するお子さんも増加しています。
平成28年度の、国の国公私立の高等学校における
中途退学者数・・・約4万7,000人
ー 文部科学省「H30年度不登校実態調査」より ー
不登校生徒の増加に対する国の動き
不登校生徒の増加に対し、国はどのような対策を取っているのでしょうか。
国(文部科学省)では,子どもの不登校問題について検討を行うため,平成27年1月から「不登校に関する調査研究協力者会議」を開催しました。
そして、翌年・平成28年7月に最終報告を受け、「不登校児童生徒への支援の在り方について」(平成28年9月14日付け 初等中等教育局長通知)が出されました。
それによると、
・不登校は、今まで「子どもの問題行動」として扱っていたが、多様な要因や背景から結果として不登校状態となっており,問題行動と判断してはならない。
・不登校児童生徒への支援は,学校に登校するという結果のみを目標とせず、子どもの社会的自立を目指すこと。
といった、今までの方針から大きく方向転換した、不登校の子どもへの支援のあり方を示しました。
学校という組織ありき(大人の都合)ではなく、本来あるべき姿、つまり「困っている子どもを第一に考えた支援を きちんと考える」という方針の転換は、画期的なものでした。
今まで「不登校を起こす子どもは問題児」「不登校は悪いことだ」「親の育て方が悪いのではないか」などと言われ続けてきた子どもはもちろん、親にとっても大きな変化・救いをもたらすことになりました。
そして、平成28年12月には、不登校の子どもたちが学校以外の場(フリースクール等)で行う多様で適切な学習活動の重要性や,休養の必要性等を規定した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立しました。
つまり、不登校児童生徒への学習支援について、日本で初めて法律で定められました。
また、国は平成29年3月に、不登校の子どもたちが教育を受ける機会を確保するため、「義務教育の段階における 普通教育に相当する 教育の機会の確保等に関する基本指針」というものを策定しました。
その中では、以下のことが定められました。
・全ての児童生徒にとって,魅力あるより良い学校づくりを目指す
・いじめ,暴力行為等の問題行動を許さない
・安心して教育を受けられる学校づくりについても推進する
・不登校児童生徒への支援は,児童生徒が社会的に自立することを目指す
・個々の不登校児童生徒の状況に応じた、必要な支援を行う
教育支援センター(適応指導教室)の設置促進、フリースクール等との連携による支援を進めていくために「学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究」を行いました。
具体的に、不登校の子どもたちの状況に応じた必要な支援を進めていくことになりました。
学校における、いじめの状況
残念ながら、多くの子どもたちが学校で直面するいじめ。
いじめもまた、子どもの心の傷になり、学校へ行けなくなる大きな原因となっています。
いったい、どれくらいの「いじめ」が存在するのでしょうか。
平成28年度の全国の国公私立の小・中・高等学校及び特別支援学校における、
・いじめの認知件数・・・約32万3,000件
・いじめを認知した学校数・・・ 約2万6,000校
・学校総数に占める割合は約68.3%
「H30年度不登校実態調査・いじめの認知(発生)件数の推移」文部科学省 参照
この件数についても、「ただし調査結果で都道府県間の差が大きく、正確に反映しているとは言い難い状況である」という注釈が付いており、国でも正確に把握するのは難しいようです。
特に平成24年以降、いじめの件数が急増しています。平成24年4月に「ゆとり教育」が廃止され、学習内容が大幅に増加しました。
各科目の教科書が分厚くなり、子どもの学習負担が増加しました。また、学校・教師にとっても、授業の準備や実施の負担が増えて、業務がますます膨大になっています。
先生も生徒も、急激に負担が増えたことが、いじめ増加の要因になっているかもしれません。